2019年10月02日

"温かい牛乳を飲むと熟睡できる"というのは本当だと思いますか?

 日本人の睡眠時間は、年々減少しているのだそうですが、あなたは毎日どれくらい睡眠時間を取っていますか?

 ところで、時々聞く話に、「寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れる」といったものがありますが、これは本当なのでしょうか。そして、「寝不足」は体に悪いのでしょうか。またその一方で「寝過ぎ」はどうなのでしょうか。

 今日は、最新の医学論文をふまえて、臨床の最前線とオンライン健康相談の両方で活躍する、オンライン健康相談「first call」相談医で医師の石川 陽平(いしかわ・ようへい)さんのお話をもとに、ご紹介したいと思います。

◆年々減少している日本人の睡眠時間
 成人の睡眠の推奨ラインとされる7時間以上の睡眠(※1)を取れていない方は年々増加傾向にあり、厚生労働省の調査では約7割の方が7時間未満の睡眠だったそうです(※2)。睡眠時間を増やせればいちばん良いのですが、それが難しい方は、やらなければならない日中の仕事やストレスに備えるため、短い時間でもよりよい睡眠を取りたい、と思われるのではないでしょうか。

 石川さんによると、オンライン健康相談「first call」でも、睡眠に関する相談がたくさん寄せられるそうで、例えばこんな相談を良く頂くそうです。

「睡眠不足で、仕事中に集中力が維持できなくなりつつあり困っています。なかなか寝付けません。薬などにはなるべく頼りたくないのですが、簡単にできることはないでしょうか? 」(30代、男性)

「しっかり眠れなくて困っています。帰宅は早くて20時、遅いと日を超えます。朝は早いので、うまく睡眠を取りたいと思っています。眠りについてのアドバイスをお願いします。」(30代、男性)

 こういった相談から窺えることは、多くの働く方が、仕事のパフォーマンスへの睡眠の影響に悩まれていて、薬に頼らずに何か日常的に対処できる方法はないだということを、求めておられるということです。

 そんな眠りの悩みにに関して、「寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れる」という話を耳にしますが、ホットミルクが本当に睡眠に効果があるのかについて、石川さんが検証されているので、ご紹介します。

ホットミルクの画像.jpg

◆「牛乳が睡眠の質を上げる」は本当か
 1934年のある論文の中に、「コーンフレークと牛乳を食べることで、夜中に目が覚めることを減らせるかもしれない」という記載があります(※3)。この論文が発端かは分からないそうですが、「眠れないときには牛乳を飲むと良い」という話が広く広まっているようです。実際に聞いたことがある方も多いのではないのでしょうか。

 では、本当に牛乳は睡眠の質を上げるのかですが、石川さんによると、これまでの医学から言える結論は、「半分合っているけれど、半分間違っている」だそうです。

 70人の成人に8週間続けて、寝る前に500mlの牛乳を飲んでもらったという、フィンランドで行われた研究(※4)があるそうです(毎日寝る前に500mlの牛乳を飲むのはかなりつらいと思うのですが、それでも飲んでもらったようです)。その結果はなんと、毎日の努力もむなしく、牛乳を飲むことと睡眠の質との間には関連性がない、というものだったそうです。

 しかし、牛乳をある牛乳に変えたところ、「睡眠の質が高まり、夜中に目覚める回数も減った」という結果が出たそうで、そのある牛乳とは、「夜にとれた牛乳」です。

 先ほどの70人に、今度は夜にとれた牛乳を毎日500ml飲んでもらったところ(この方たちは合計16週間も毎日500mlの牛乳を寝る前に飲んだということになります。ものすごい研究です)、「睡眠の質が高まった」「夜間起きる回数が減った」と感じた方の割合が、有意に多くなったということです。

◆夜にとれた牛乳が、睡眠の質を上げるカラクリ

 では、なぜ夜にとれた牛乳は睡眠の質を上げたのかですが、石川さんによると、その答えは、牛乳に含まれる「トリプトファン」と「メラトニン」という物質にあるそうです。

 トリプトファンもメラトニンも、睡眠の質を上げる作用がある物質で、医薬品などにも応用されているそうですが、牛乳が睡眠の質を上げる可能性があるのは、これらが含まれているためと考えられています。

 しかし、これらの物質の濃度は、昼に取れた牛乳と、夜に取れた牛乳とで大きく異なるのだそうです。ある研究によると、夜にとれた牛乳は昼にとれた牛乳よりもトリプトファン濃度が25%多く、メラトニン濃度はなんと約9.8倍に達することがわかったということです(※5)。

 実際に動物を使った実験でも、昼間にとれた牛乳を飲ませた場合には血中のメラトニン濃度は上がらなかったものの、夜間にとれた牛乳ではメラトニン濃度が上昇していることが確認されたそうです(※6)。

 実際、牛の搾乳は、昼夜を問わず行われていることが多いようなので、市販されている牛乳が夜にとれたものか、昼にとれたものかは分かりません。目の前のパックに含まれた牛乳が、夜にとれた牛乳であれば、寝る前に飲むことで睡眠の質を上げられるかも知れませんが、現実には運任せになってしまうということです。この意味で、「半分合っているけれど、半分間違っている」というのが、結論です。

 その他、睡眠に効果のあるものとして、キウイやさくらんぼを寝る前に摂取することで、寝付きが良くなったり、睡眠の質を上げたりする効果があるという研究が行われています(※7、※8)。これは、キウイに含まれるセロトニンという物質や、さくらんぼに含まれるトリプトファンやメラトニンが効果を発揮していると考えられています。

 逆に、睡眠の質を下げてしまうものとしては、アルコール、カフェインなどがよく知られています。

平均睡眠時間と死亡率の関係.jpg

◆睡眠時間は少なくても多くても、死亡率は上昇する
 また、睡眠時間そのものも、非常に重要な問題です。適切な睡眠時間は、一般的には6時間〜8時間が標準とされますが、日本で行われた研究では、睡眠時間が少ない人だけでなく、多すぎる人も死亡率が高くなることがわかっているそうです(※9)。この結果は、タバコやアルコール、日常の運動、精神疾患の影響を除外しても同様の結果だったそうです。

 例えば、7時間睡眠をとっている女性と5時間未満の睡眠しか取らない女性を比べると、死亡率は1.18倍になるという結果が出ているそうです。さらに驚くのは、9時間以上睡眠を取っている人は1.57倍の死亡率ということです。適切な睡眠時間が命にも関係すると考えると、毎日の睡眠を適切にとる大切さがより身にしみてくるのではないでしょうか。

◆厚労省の「睡眠指針」も参考に
 そして、厚生労働省が、2014年にまとめた「健康づくりのための睡眠指針」には、下記のような指針が示されていて、これが非常に良くまとまっているので、参考になると思います(※10)。

1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

 いかがですか?

 毎日活動的に動くには、しっかりとした睡眠が必要で、そのために日常的にできることはたくさんあるそうです。もし睡眠で悩まれている方は、「first call」で気軽に私たち医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

 よろしかったらブログランキングのクリック応援をお願いします。



【参考文献】
※1 Watson NF, Badr MS, Belenky G et al. Recommended Amount of Sleep for a Healthy Adult: A Joint Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society. Sleep. 2015 Jun 1;38(6):843-4.
※2 平成27年「国民健康・栄養調査」の結果
※3 Laird D, Drexel H. Experimenting with food and sleep I. Effects of varying types of foods in offsetting sleep disturbances caused by hunger pangs and gastric distress-children and adults. J Am Diet Assoc 1934(10):89-94.
※4 Valtonen M, Niskanen L, Kangas AP, Koskinen T. Effect of melatonin-rich night-time milk on sleep and activity in elderly institutionalized subjects. Nord J Psychiatry 2005;59: 217-21.
※5 Milagres MP, Minim VP, Minim LA, Simiqueli AA, Moraes LE, Martino HS. Night milking adds value to cow's milk. J Sci Food Agric 2014;94: 1688-92.
※6 dela Peña IJ, Hong E, de la Pena JB, Kim HJ, Botanas CJ, Hong YS, Hwang YS, Moon BS, Cheong JH. Milk collected at night induces sedative and anxiolytic-like effects and augments pentobarbital-induced sleeping behavior in mice. J Med Food 2015;18:1255-61.
※7 Garrido M, Paredes SD, Cubero J, Lozano M, Toribio-Delgado AF, Munoz JL, Reiter RJ, Barriga C, Rodriguez AB. Jerte Valley cherry-enriched diets improve nocturnal rest and increase 6-sulfatoxymelatonin and total antioxidant capacity in the urine of middle-aged and elderly humans. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2010;65:909-14.
※8 Lin HH, Tsai PS, Fang SC, Liu JF. Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pac J Clin Nutr 2011;20:169-74.
※9 Ikehara S, Iso H, Date C, Kikuchi S, Watanabe Y, Wada Y, et al.; JACC Study Group. Association of sleep duration with mortality from cardiovascular disease and other causes for Japanese men and women: the JACC study. Sleep. 2009;32:295-301.
※10 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」(2014年3月発行)

posted by ケイちゃん at 19:12| Comment(0) | 睡眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月16日

脳が休まる「質の良い睡眠」のためには、「ぐっすりストレッチ」 が有効だそうです


寝ている女性の画像.jpg

 あなたは毎日熟睡できてますか?私はなかなか熟睡できてなくて、夜中に何回も目が覚めてしまいます。

 ところで、人の睡眠は「ノンレム睡眠」(脳の休息)と「レム睡眠」(体の休息)を約90〜120分周期で繰り返しているということは、ご存知だと思います。そして、ノンレム睡眠は眠りの深さで3つの段階に分けられ、睡眠の前半は最も眠りの深い第3段階に至る「深睡眠」が多いとされ、睡眠の後半になると、浅い眠りのレム睡眠の持続時間が長くなる特徴があるそうです。

 今日は、みんなが望んでいる「質の良い睡眠」はどのような状態をいうのかということについて、「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」(横浜市)の白濱龍太郎院長のお話をもとに、ご紹介したいと思います。

◆質の良い睡眠とは?
 白濱院長によると、

「深睡眠は『徐波睡眠』と呼ばれ、いわゆる熟睡の状態です。質の良い睡眠と言うのは、この深睡眠がしっかりとれた状態のことで、深睡眠は入眠から4時間以内に多く発生するので、その間に深睡眠を2回以上とれれば脳と体の疲れの約80%は解消できます」

ということです。つまり、寝入りばなの4時間が重要になることなので、深睡眠へとスムーズに導くために、白濱院長が提案されているのが「ぐっすりストレッチ」です。これは、体の深部体温が下がる、副交感神経が優位になる、ことで眠気が起こる特徴を利用した3種類のストレッチを各1分間ずつ行うもので、その手順は次の通りです。

【ステップ1】入浴時(寝る1〜2時間前)に行う「首もみストレッチ」

(1)シャワーを固定し、少し熱めのお湯を首の後ろに当てる

(2)手の親指以外の指を組む

(3)首にシャワーを当てたまま、組んだ手を首に置く。首の横のくぼみを親指で軽くつまみ、手を上下にゆっくりと動かし、マッサージをする

【ステップ2】寝室の明かりを消し、布団に入る直前に行う「腕まわしストレッチ」

(1)腕を曲げ、脇を開いて肘を上にあげる

(2)腕をそのまま後ろに向かって大きく、ゆっくり、ぐるりと回す(肩甲骨を寄せる感じで)

(3)肘が体の前にきたら手を組み、前方に腕を伸ばす

(4)そのまま頭の上まで持ってきて、ぐっと伸ばし、2秒くらいキープして手をおろす

((1)〜(4)の流れを5〜6回繰り返す)

【ステップ3】布団に入ってから寝た状態で行う「足首曲げ深呼吸」

(1)3秒くらいかけて鼻からゆっくりと大きく息を吸い込むと同時に、足首を手前(体側)にぐっと曲げる

(2)口をすぼめ、3〜5秒ぐらいかけてゆっくりと息を吐き切り、足首を元の位置まで戻す((1)(2)を繰り返す)

 白濱院長は、

「計3分の簡単なストレッチなので、まずは1週間くらい試してみてください。患者さんに指導した感触では、9割以上の人に睡眠改善効果があるとみています」

と話しておられます。

 いかがですか?

 9割以上の人に睡眠改善効果があるという「ぐっすりストレッチ」、私も試してみようと思います。

 なお、「ぐっすりストレッチ」の詳細は、白濱院長の著書『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)をご参照下さい。

 よろしかったらブログランキングのクリック応援をお願いします。

posted by ケイちゃん at 18:08| Comment(0) | 睡眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月31日

レタスを食べると安眠できるそうです


寝ている女性の画像.jpg

 あなたは、毎日熟睡できてますか? 私は眠りが浅く、寝入ってもすぐに目が覚めてしまい、なかなか熟睡できません。

 今日は、私のような熟睡できてない方に、睡眠・安眠のコツについて、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんのお話をもとに、ご紹介したいと思います。

 「睡眠負債」ということば、聞かれたことがあると思います。これは、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、将来的にはガンや認知症、糖尿病などの疾患のリスクを高めていくことです。森田さんによると「もっとも長生きできるとされている睡眠時間は7時間。6時間睡眠を2週間続けると、2日徹夜したのと同じくらいのダメージが脳に蓄積する」ということです。

 そこで、森田さんおススメの睡眠・安眠のコツは次のとおりです。

◆裏ワザ1「体温のコントロール」
 寝る前に温かいものを食べたり、ぬるめのお風呂に入ったりして体を温めた後、ひんやりとした布団に入ることで熟眠につながるそうです。

◆裏ワザ2「レタスの摂取」
 「えー! 本当ですか?」と言いたくなりますが、これはヨーロッパでは有名な睡眠法なのだそうです。レタスの芯に含まれるラクッコピコリンが安らかな気持ちにさせるそうで、スーパーでよく見る丸いレタスよりもサニーレタスやサンチュがオススメだということです。

◆裏ワザ3「青色の寝具」
 青色には心を落ち着かせる作用があり、他の色の寝具で寝た場合よりも一番睡眠時間が長かったそうです。

 いかがですか?

 レタスが安眠のためになるなんて、本当に信じられないですね。私もまだ試してないので、今晩試してみたいと思います。

 よろしかったらブログランキングのクリック応援をお願いします。

ラベル:レタス 安眠 摂取
posted by ケイちゃん at 19:34| Comment(0) | 睡眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする