
あなたは、仕事の質を高め、やり直しを防ぐダンドリ仕事術「自工程完結(JKK)」という言葉を聞いたことがありますか?
「自工程完結」は、仕事だけでなく、料理、勉強、旅行、スポーツなど「段取り」があるもの全てに活用できる究極の思考法なのだそうです。でもなぜ、究極なのでしょうか?
今日は、仕事の基本をまったく知らない人でもわかる? 学園でおこる難題に巻き込まれる女子高生のストーリーを通じて、世界一やさしくダンドリ、フレームワークといった幅広く使える便利なトヨタの思考法やさしく解説する書籍『誰でもストーリーでわかる! トヨタの思考法――知識ゼロから驚くほど合理的な「自工程完結」が身につく』の中から、そのエッセンスを一部抜粋してご紹介したいと思います。
◆モレなく考えられるようになる全体思考
まずは、発想力や企画力を高める思考技術を学んでいきます。「よい発想が思い浮かばない」「企画力を高めたい」とお考えの方、まずは2つの思考術『全体思考』と『反対思考』を使ってみるのが良いそうです(図表参照)。

『全体思考』というのは、モレなく考える思考技術で、『それだけなの?』とツッコまれないための思考技術だそうです。
モレなく考えるということは、「全体を捉える」、つまり「外枠を押さえる」ことです。
外枠とは、例えば、『前・中・後』『内・外』『男・女』といった、それらの断面で見た場合、ヌケ、モレがない枠組み(フレームワーク)のことで、これらのフレームワークは、物事を分類、層別すると、必ずどれかに属します。例えば、文化祭の運営を例に取り、「前・中・後」のフレームワークを使うと、文化祭の作業は必ずどれかに属することがわかります。
・前…文化祭の企画、出し物の制作など
・中…出し物の披露、見学など
・後…文化祭の評価、記録保存など
このように、最初に全体(外枠)を押さえ、枠内へアイデアを入れ込むことで、モレを防ぐことができます。
なお少し補足すると、フレームワークは、「前・中・後」のように論理的に抜けがないもの以外に、世間一般的に見て、これだけ押さえておけば、モレはないと見なしてよいと言われものがあるそうで、例をあげると、調査/分析などに用いられる、3C(頭文字Cから始まる3つの単語)などです。3Cというのは、
・Customer(カスタマー:顧客)
・Company(カンパニー:自社)
・Competitor(コンペティター:競合)
ですが、これはつまり、お客様を知り、自分を知り、敵を知るということです。
例えば、彼氏を射止めたい場合、どうするか?というと、
・彼氏(カスタマー):趣味、好み、交友関係 など
・自分(カンパニー):アピールポイント、彼との接点 など
・恋敵(コンペティター):特徴、動向 など
を知ることで、彼氏をゲットできる……はずです。(なかなか理論的にはいかないかも知れませんが)
◆「反対思考」とは、文字通り、 反対に、逆に考える思考技術
「反対思考」というのは、文字通り、 反対に、逆に考える思考技術のことで、具体的には、自工程完結において、あらかじめ、「最終的なアウトプット」を明確にしたり、手順をゴールから逆算して描くことが、これにあたります。「反対思考」は、「要するに何なの?」とか、「本当にそうなの?」とツッコまれないための思考技術です。
「実験する前に論文を書け」(『仮説思考BCG流 問題発見・解決の発想法』内田和成、東洋経済新報社)という言葉があるそうです。
これは、「行き当たりばったり、出たとこ勝負」ではなく、実験をする前に、結果を想定しておくということで、これは言いかえると、仮説(仮の答え)を立てることです。そして、その仮説を導き出す、適切な実験方法を考えてから、実験に取り掛かることで、ムダな実験や、実験のやり直しを防ぐことがです。つまり、実験する前に既に論文の良し悪し、勝負がついており、「結論から先に考える」ことにより、「要するに何なの?」とツッコまれないようにすることができます。
この「反対思考」の力は超絶だそうで、技術やサービスなどのイノベーション(革新)は、「反対思考」により、従来の常識や固定観念を覆してきた歴史と言っても過言ではないそうです。
例えば、身近な例では、アイスクリームがあげられます。地域性はありますが、以前は、「アイスクリームは冷たく、夏に食べるもの」という常識や慣習がありました。そんな中、「冬に食べられるアイスクリーム」を開発して大ヒットになったのが、ロッテの「雪見だいふく」です。
また、20世紀初頭にはアイスクリームは皿に載せて食べてたのだそうです。「アイスクリームは皿にのせて食べるもの」だったんですね。それを、ワッフルでコーン状に巻いてアイスを入れることを思いつきます。つまり、「皿にのせなくても食べられるもの」と同時に「食べられる皿」が発明されたわけです。
そして、文化祭でもお目にかかる「お化け屋敷」ですが、「お化け屋敷って暗いところでやるもの」ってイメージがありませんか?そういうのを固定観念と言うのですが、固定観念は、往々にして「〜するもの」「〜わけがない」「〜はずがない」「〜ねばならない」などという仮面をかぶっていて、あたり前として疑問にすら思わないのです。「お化け屋敷は暗いもの」っていう具合にです。
その固定観念を打ち破るやり方があります。まず、前提となる条件を洗い出し、その前提を強制的に逆転させる。つまり、「前提逆転」というやり方です。
この前提というのは、「物事を成立させる条件、根拠」のことなのですが、「前提逆転」では、特に常識や慣習といった「あたり前や周知の事実」として、疑問にすら思わないことに着目します。もしそれを逆転できれば、まさに革新だからです。アイスクリームの例で言えば、「夏に食べるもの」から「冬でも食べられる」みたいにです。
ここで「前提逆転」で成功した実話をご紹介します。
ある年の台風で育てていたリンゴの9割くらいが、収穫前に落ちてしまいました。
リンゴ農家は悲しみにくれていました。「残ったリンゴは売れない。金にはならない」と。そんな中、ある農家は、前提である「金にはならない(儲かるはずがない)」に着目し、落ちなかったリンゴを“落ちない”リンゴ。つまり、「縁起物として受験生に売ることはできないだろうか」と考えました。この逆転の発想で、高価なリンゴがあっという間に完売したのだそうです。
逆に、落ちてしまったリンゴに対しては、激しく恋に落ちるお守りとして、恋活する人に売れるかもしれません。
このように、「落ちてしまったリンゴには商品価値がない(売れるはずがない)」という前提を逆転させるわけです。
いかがですか?
本書では、「反対思考」として、潜在リスクに気づくやり方にも触れているので、もし興味を持たれた方は、ぜひ、本書『誰でもストーリーでわかる! トヨタの思考法』に触れられてはいかがでしょうか。
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