
「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」――乳腺濃度の4グループ 画像提供:NPO法人乳がん画像診断ネットワーク
乳がんは女性の大敵ですが、あなたは毎年乳がん検診を受けてますか?
乳がんの特徴については、前回の「女性罹患数断トツの「乳がん」に3つのリスクがあることをご存知ですか?」でご紹介しましたので、今日は、乳がん検診の受け方、使い方について、医学博士の近藤慎太郎さんの著書、「医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方」をもとに、ご紹介したいと思います。
◆マンモグラフィーの一番の問題は、病変の見逃しがあり得ること
乳がん検診といえば、マンモグラフィーですが、実は、マンモグラフィーには弱点があるということです。
どういうことかと言うと、乳腺の濃度が高いと、マンモグラフィーで乳房全体が真っ白に写ってしまうそうですが、病変も白く写ることが多いため、真っ白な背景の中に隠れてしまって見逃す可能性が高まるのからです。特にアジア人や若い人ほど乳腺濃度が高いことが知られているということです。
そして、日本の場合は40歳代後半に乳がん罹患のピークがあるため、「アジア人で若い世代」という高濃度乳腺が多い層にがんのピークがあるという、非常にやっかいな状況に置かれているわけです。
この乳腺濃度には個人差があって、4グループに分けることができるそうです。
・脂肪性
・乳腺散在
・不均一高濃度
・極めて高濃度
一方、国の乳がん検診の指針では、マンモグラフィーの結果を「異常なし」か「要精密検査」のどちらかで通知するよう定めているそうです。つまり、受けた本人の乳腺濃度がどのグループに属していたかは、原則的に通知されないということです。たとえ「高濃度で見えづらかった」としても、明らかな問題が指摘できなければ「異常なし」に分類されるわけです。
実はこれが、乳がん検診の一番の盲点で、
「きちんと乳がん検診を受けていたのに、翌年に大きな進行がんが見つかった」
というケースは、この通知方法に原因がある可能性があります。「異常なし」との結果だったので安心していたけれども、実は徐々に育っていた乳がんが、高濃度乳腺のせいで見えていなかっただけなのかもしれないかも知れないからです。
自分でも乳房にシコリがあることに気付いておかしいなとは思っていたけれど、マンモグラフィーの結果が「異常なし」だったから、様子を見ていたら手遅れになってしまった、という人がいるかも知れません。
◆検診では、乳腺エコー検査も併用して、自分の乳腺濃度の結果を質問する
それでは、マンモグラフィーの弱点をカバーするためにはどうすればいいのでしょうか。
現状で最も有望なのは、「乳腺エコー検査」を併用することだそうで、おなかや心臓のエコー検査と同様に、乳房に超音波を当てることで、がんの有無をチェックすることができるということです。
実際に、40歳代の女性にマンモグラフィーとエコーを併用することによって、早期の乳がんの検出率が上がったことが報告されているそうです。
ただし検出率が上がった結果、死亡率が下がるかどうかについては、臨床試験が進行中で、まだ証明されていないそうです。厚生労働省の指針では、死亡率が下がらない限り、がん検診として認められないので、エコーは自治体の健診では原則的に受けられず、自費診療として人間ドックなどを活用する必要があります。
それともう一つ、もし乳がん検診を受けたら、現行の通知結果だけで満足せず、「私の乳腺濃度は4グループのどこに入るのですか」と質問することです。
自分の乳腺濃度がどのグループに属しているかを知ることは、自分の健康管理に必ず役に立ちますし、その積み重ねが、乳がん検診の成熟を促すことになるはずだからです。
いかがですか?
私はもう閉経したので受けてませんが、乳がんになる可能性の高い30代から50代の方には、マンモグラフィーとエコーの併用検査で、乳がんの早期発見、早期治療に務めていただきたいと思います。
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