2020年07月03日

アスピリンに大腸がんの予防効果があるそうです


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 あなたは、アスピリンって薬の名前聞いたことがありますか? そう、あの解熱鎮痛剤として有名な薬です。

 実はこのアスピリンが、最近がんの予防薬として特に注目されているのだそうです。今日はこの情報について、ご紹介したいと思います。

◆アスピリンに大腸がんの予防効果がある
 1988年、オーストラリアの疫学者クーネは、アスピリンを服用している人の大腸がんの罹患率は、服用していない人より約40%も低いことを発表しました。クーネは別の試験結果の解析中に偶然このことを発見したのだそうです。

 その後、世界中でアスピリンの大腸がんに対する予防効果を検証するための調査が数多く行われるようにななったそうで、2010年、オックスフォード大学のピーター・ロスウェルらの研究チームによる発表では、アスピリンを5年以上服用した人は、服用しない人に比べ、大腸がんによる死亡率が半分近く減ったことが報告されているそうです。

 また、代表的な4つの試験を統合したメタ解析では、アスピリンの投与によって新たな大腸ポリープ(大腸がんの前がん病変)の発生は17%有意に抑制されたという結論が出ているということです。

 こうした研究から、欧米では、アスピリンを3〜4年服用すれば、大腸がんのリスクは20%程度減らせるという期待が高まっているそうで、2016年4月には、米国予防医学専門委員会(USPSTF)が、50〜60代の人に大腸がんの予防のために低用量アスピリンを毎日内服することを推奨する勧告を発表したということです。

 ただし、欧米の試験結果がそのまま日本人にあてはまるとは限りませんし、また、解熱鎮痛剤として売られている頓用のアスピリンは薬局で購入できますが、日本では長期服用する低用量アスピリンは医師による処方が必要だそうです。そして、アスピリンを投与すれば、その副作用として出血や粘膜傷害のリスクが高まるのだそうです。

 なお、実際に一般用医薬品の解熱鎮痛剤として販売されているアスピリン錠は含有量が多いため、これを長期服用するのは危険だそうですので、がん予防のために自己判断で服用することは絶対にしてはいけないということです。

◆日本人にも当てはまる?
 大腸がんは日本人に多いがんのひとつだそうで、2015年の統計によると、日本人のがんの部位別による死亡数は、男性は肺がん、胃がんに次いで大腸がんが3番目に多く、女性はいちばん多くなっているそうです。また、男女とも40歳以上から大腸などの消化器系のがんによる死亡の割合が高くなるそうです。

 これまで、アジア人におけるアスピリンの大腸がんの予防効果を裏付けるエビデンスは乏しい状況だったそうですが、アスピリンによる大腸がんの予防は、日本人のがんによる死亡率低下に大いに貢献できることが期待できるとして、2007年から国立がん研究センターや京都府立医科大学など国内19施設が参加した臨床試験「J-CAPP」が実施されたそうで、その概要は次の通りです。

 大腸がんに進行する可能性の高い大腸ポリープを内視鏡で摘出した患者311人に対して、低用量アスピリン腸溶錠(100mg/日)またはプラセボ(偽薬)を2年間投与しました。

 そして、2〜3年後の大腸ポリープの再発を観察すると、アスピリンを投与したグループはプラセボを投与したグループにくらべて、新たな大腸ポリープの発生が約40%減少しました。つまり、日本人においても、アスピリンが大腸がんの再発予防に有効であることが示唆されたということです。

◆アスピリンによるがん予防は喫煙者では逆効果!?
 J-CAPPの結果で興味深かったのは、非喫煙者では新たな大腸ポリープの発生リスクが63%と大幅に減少したのに対し、喫煙者では逆にポリープの再発率が3.45倍も高くなったことだそうです。

 このときの解析は症例数が少なく、世界でも初めての結果だったので、偶然である可能性もありましたが、その後、海外でも同様の試験結果が報告され、喫煙者のアスピリン服用で発がんリスクが上昇するのは、偶然の事象ではなさそうだということです。

 また、喫煙だけでなく飲酒についても、週3回以上お酒を飲む人はアスピリンの予防効果が減弱していたそうです。

 つまり、アスピリンで大腸がんの再発リスクを軽減できる人がいる一方で、生活習慣などの背景によってアスピリンの投与が逆にがんのリスクを高めてしまう可能性があるということです。

 また、アスピリンは安価とはいえ、多くの人が長期にわたり服用するとなれば膨大な費用がかかります。こうしたことから、実際にアスピリンによる大腸がん予防を実施するには、副作用がきわめて少なく、確実に大腸がんの予防効果が期待できる対象者を絞り込む必要があると言えます。

 そこで第2弾として、アスピリンが有効な集団を絞り込むための試験「J-CAPP2」が開始されたそうで、J-CAPP2では、大腸ポリープを摘出した患者7000人を対象にアスピリンを4年間投与し、患者の遺伝的背景や食習慣、併用している薬などが、アスピリンによる予防効果や副作用とどう関連するかを調べるということです。

 でも、なぜ喫煙や飲酒でアスピリンの予防効果に違いが出るのか不思議ですね。もしかしたら、アスピリンの服用により、タバコに含まれる成分やアルコールが体内で代謝される際に何らかの化学反応を起こして、ポリープの発生を引き起こしているのかも知れませんね。

 いかがですか?

 アスピリンで大腸がんが予防できる可能性があるという、興味深い情報でした。なお、アスピリンのがん予防効果のさらなる詳細や、がんゲノム医療の最前線については、ブルーバックス『「がん」はなぜできるのか』(国立がん研究センター研究所編)で詳しく解説されているそうなので、興味のある方はご一読下さい。

 また最後に再度申し上げておきますが、一般用医薬品の解熱鎮痛剤として販売されているアスピリン錠を長期服用するのは危険ですので、がん予防のために自己判断で服用することは絶対にしないようにして下さい。

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posted by ケイちゃん at 17:52| Comment(0) | 病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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