
モデルや女優さんが肌身離さず水を持ち歩いているイメージから、「水をたくさん飲むと痩せる!」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で「水太り」という言葉を耳にしますし、「水を飲むだけでも太る」「水ダイエットは痩せない」などと言い切る人もいます。
水は、私たちが生きていくためには欠かせませんが、ダイエットにはどのような関わりがあるのか知りたくないですか?
ということで今日は、ダイエット中の正しい水分のとり方や1日に飲む適量について、管理栄養士の片村 優美さんのお話をもとに、ご紹介したいと思います。
◆水はなぜ必要? 水が不足するとどうなるのか?
まず基本的なところから、健康に過ごすためにどうして水が必要で、水が不足するとどうなるのか、ご紹介します。
私たちの体の大部分は実は水分でできています。血液や細胞の中などに含まれており、成人では約65%を占めているそうです。
血液に含まれる水分は体の隅々にまで栄養やホルモン、酸素を運び、体内の老廃物を尿として排泄する役割を持っています。また、体温調節という大切な機能にも関わっています。
体の中の水分が失われ、少なくなった状態を「脱水」といいます。この状態になると熱中症や脳梗塞、心筋梗塞などのさまざまな健康障害の原因となります。
日本人は全体的に水分の摂取量が不足しており、平均1486mlとなっています(国立研究開発法人産業技術総合研究所のデータによる)。
女性は平均よりもさらに100mlほど低く、「あとコップ2杯」の量を増やせば必要量を確保できる計算になります。ですからまずは健康のために、水を飲むことを心がけるようにして下さい。
◆「水太り」って本当? 水で太ることはある?
一方、「水を飲むだけでも太る」という意見についてはどう思いますか?
答えはNoです。水にはカロリーがないので、基本的には水のとりすぎで太ることはありません。ただ、塩分の摂取量が多いと体の中の浸透圧を一定に保つため、水分を溜め込もうとします。これがいわゆる「むくみ」と呼ばれるものです。
実は「水を飲みすぎたから水太りして太った」というのは間違いで、「味付けの濃い料理ばかり続いたからむくんだり、太ったりした」というのが正しいのだそうです。つまり、水以外の食生活の背景が大きく関係していると言えます。
また、糖分が含まれる水分を摂取すると、当然カロリーがあるので飲みすぎれば太る原因になります。最近人気のフレーバーウォーターも、糖分が含まれているものがあるので注意が必要です。
◆ダイエット中の水の役割と必要な量
それでは次に、ダイエット中の水分の摂り方についてご紹介します。
水分は空腹感を和らげたり、食事の満足度を上げたり、代謝を良くするという役割があります。しかし一度で吸収できる量は限られていますので、多くとればとるほど良いというわけでもありません。
ダイエット中には運動をしたり、入浴を長めにしたりする人も多いと思います。汗をかいて失われる水分が多くなる場合は、その分水を飲む量も増やす必要がありますが、特に生活強度に変化がない人は通常の必要量が摂れていれば大丈夫です。
ですから、通常の必要量は、成人で1日あたり約1.2〜1.5Lを目安にして下さい。
なお、厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、1日に必要な水分は2.5Lで、飲み水としては1.2Lとしているそうです。
◆1日の水分出納は?
■1日に排泄される水分
・尿 (※注1):1000〜1500mL
・体から蒸散する水分:900mL
・糞便に含まれる水分:200mL
■1日に摂取される水分
・飲料水:1000〜1500mL
・食物中:800mL
・代謝水:300mL
※注1:尿には、不可避尿(老廃物を排泄するために必要な尿)500mL+可避尿(摂取した水分量の調節)500〜1000mLが含まれています。
一方で、モデルや女優さんの中には、「1日4〜6リットルといったかなり多量の水を飲んでいる」という美容法を実践する方も多くいるようです。
しかし、たくさん水を飲んだからといって必ず痩せるという根拠はなく、自己流でマネをすると、かえって体を壊してしまう可能性があるので気を付けて下さい。
そして、水を飲みすぎると体内の水分と塩分のバランスが崩れ、逆にむくみ、ぽっこりお腹、手足の冷えを症状とする水毒症になってしまう場合もあるので、注意が必要です。
◆水ダイエットをするなら? 正しい水のとり方は
水ダイエットというダイエット法もあるのですが、水分は一度に吸収できる量が決まっており、多く飲んでもただ排出されてしまうだけなのであまり意味はありません。
糖質制限ダイエットしていて、空腹を紛らわすために水を飲むのであれば、1回につきコップ1杯を、1日の中で数回に分けてこまめに摂取するようにして下さい。その際の水分摂取のタイミングは次のとおりです。基本的に、水分が失われやすい状況の前後に摂ります。
・朝起きたあと
・夜寝る前
・スポーツの前後
・入浴の前後
・食事中
「喉が渇いたな」と感じたときには、もうすでに水分不足が始まっている状態なので、渇きを感じてから水分をとるのではなく、こまめに補給して水分不足を防ぐ必要があります。
また、食事中にも水をこまめに飲むと胃腸に水分が溜まり、少ない量の食事でも満足感を上げることができるので、ダイエットにも効果的です。
なお、アルコールには脱水作用があるので、お酒を飲んだあとにはしっかり水分補給をしてください。もし、お酒の飲み過ぎが心配な人は、お酒の隣に水を用意しておき、同じ量を交互に飲むという方法もあります。脱水防止だけではなく、お酒の飲み過ぎ防止にもなり一石二鳥です。
◆ダイエット中の水分補給におすすめの種類と温度
ダイエット中ならもちろんジュース類は摂るのを控えるのが鉄則です。なお、ノンカロリーと書いていても、規定によって100ml中5kcalまでは記載が認められており、正確にいうと0kcalではない場合があります。
さらに、甘みには依存性がありますので、ジュースだけにとどまらず甘いものから抜け出せなくなる可能性があります。本当に痩せたいのであれば甘い味を極力減らす努力は欠かせません。
また、コーヒーやお茶にはカフェインが入っているものもあります。カフェインには利尿作用があり、水分補給にはなりません。ダイエット中の水分補給は、水やノンカフェインのお茶を基本として、カフェイン入りのものを飲んだときには、水分補給としてはカウントせず、同量の水をとるようにします。
そして、冷たい水は体に染みわたりとてもおいしく感じますが、体を冷やしてしまいます。体温が高いほど代謝は上がりますので、ダイエット中は体を冷やさないほうが効率的です。ですから、水分補給をするときは常温以上で飲むのがおすすめです。
いかがですか?
ダイエット中の正しい水分の摂り方と適量についてご紹介しましたが、ご理解いただけたでしょうか。
水分補給は健康維持にも重要で、ドリンクを飲んでいるつもりでも、実はすでに水分が足りていない人も少なくないそうです。
その上、ダイエット中は運動などによって汗をかいて水分が失われる機会が多くなります。モデルや女優さんをマネてガブ飲みする必要はありませんが、「喉が乾く前に水分補給!」「あとコップ2杯の水を!」を合言葉に代謝の良い体づくりをしていきませんか?
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