
あなたは夜寝るとき、神経が興奮してなかなか寝付けないということはありませんか? それは、ある呼吸法を実践することで、ストンと眠りに落ちることができるそうです。今日は、そんな睡眠と深い関係にある呼吸と副交感神経のつながりについて、精神神経免疫学博士で、呼吸法やうつを克服する方法を学べる「スパーブ ヘルス アカデミー」主宰の荻原順子さんのお話をもとに、ご紹介したいと思います。
◆ある呼吸法を実践しただけでストンと眠りに落ちる!
残業や遅番などで帰宅時間が遅くなり、頭が冴え渡っていたり、疲れているのに興奮していたりして、夜寝るとき、神経が興奮してなかなか寝付けないという時にオススメなのがある呼吸法です。その特殊な呼吸法により、人はリラックスをもたらす副交感神経が刺激され、眠りやすくなるといわれています。
実はこの方法は安部首相も実践しているという呼吸法で、心を落ち着け、ほど良いリラックスが訪れる中、ぐっすり眠りにつける呼吸法です。それは、『癒す心、治る力』の著者で知られる米国のアンドルー・ワイル博士が提唱している「4-7-8呼吸法」というものです。
やり方はとても簡単で、まず背筋を伸ばしてイスか床に座り、「フーッ」と口から息をしっかり吐き切る。そして、口を閉じて、鼻から息を4秒間かけて吸おう。吸い終わったら、その瞬間から7秒間息を止める。今度は口から息を吐き切る。このとき、8秒間かけて思いっきり「フーッ」と吐き切る。この一連の呼吸を1セットとし、合計4セット行なうと良いそうです。
つまり、鼻から息を吸い、息を止めた後、口から2倍の時間をかけてゆっくり吐き切るという方法です。これにより、不思議と神経系が鎮められるのだそうです。実際、興奮して眠れなかった人が、この呼吸法を試したところ、1分でストンと眠りに落ちたというエピソードまであるということです。
◆なぜ呼吸が睡眠に良い影響を及ぼすのか?
では、なぜ呼吸がそれほどまでに睡眠に影響を及ぼすのでしょうか? まずポイントになるのは、呼吸と副交感神経のつながりは思いのほか深いということです。人間には「自律神経」といって、昼間、会話や仕事などで活発に活動しているときの神経「交感神経」と、食事や睡眠中などのリラックスしているときの神経「副交感神経」の2つを切り替えて生活しています。
しかし、夜遅くまでバリバリ働いていたり、パソコンやスマートフォンを眺め、活動モードに入ったりしていると、どうしても交感神経が高ぶったままになり、副交感神経へ切り替えられなくなってしまいます。そうすると、寝付けないなどの不眠症状が起きてきてしまいます。つまり、睡眠には「副交感神経」が深く関わっているというわけで、先ほど紹介した呼吸法は、より副交感神経を活性化させる方法だったということです。
◆副交感神経と呼吸は深いところでつながっている!
では、副交感神経と呼吸とはどのような関係があるのでしょうか。 萩原さんによると、これは、
「人間は、自律神経を自分で意識してコントロールすることはできませんが、唯一、呼吸はコントロールできます。交感神経が高ぶっているときというのは、緊張・ストレスの中にいるときですが、心臓がドキドキして、呼吸も荒くなりますよね。一方、副交感神経が優位のときは、心身共に落ち着き、リラックスした状態になるので、脈拍は穏やかです。このように呼吸と自律神経とは密接につながっているので、無意識の呼吸を“意識呼吸”に変えれば、自律神経やホルモンのバランスを自分でコントロールすることができるのです」
ということだそうです。
また、荻原さんによると、副交感神経をより活性化させるためには、「鼻から吸い、口から吐く」よりも、「鼻から吸い、鼻から吐く」ほうが効果的なのだそうで、最近の識者は皆こぞって鼻呼吸を推奨しているということです。
でも、なぜ“鼻呼吸”がそれほどまでに副交感神経を刺激できるのでしょうか? それは荻原さんによると、
「鼻から吐いて、鼻からゆっくり吸うと、腹式呼吸になります。腹式呼吸は横隔膜をしっかりと動かすため、空気を取り入れる量が胸式呼吸よりも3〜5倍になります。また、腹式呼吸は“鼻呼吸”ともいわれていて、鼻から息を吐いて吸うことで、口呼吸よりも鼻の中を空気が通ることで浄化され、さらに粘膜に触れることで、乾いた空気に湿気を与えます。
そして空気も温まり、気管に与える刺激もソフトになります。この状態を保つと、副交感神経がより高まりやすくなるのです。副交感神経は、男性は30代、女性は40代を過ぎると働きがグンと下がってしまいますが、自分から意識して呼吸を行うことで高めることができます」
ということです。
いかがですか?
「呼吸」は、唯一、自律神経をコントロールできる方法なんですね。ぜひ日々、眠るときだけでなく、イライラしたときや、ストレスでつらくなったときなどに実践してみてはいかがでしょうか。
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