でも骨格筋の量は、男性は50歳、女性は60歳以降、急激に低下するそうで、腰が痛いからといって歩くのを億劫がっていると、筋力はますます低下する一方なんだそうです。ですから、自分は腰痛もちだという自覚のある方は、まずは股関節まわりをほぐし、腰部のストレスを軽減することが大切だそうです。
今日は、整形外科医の三木英之さんのお話、理学療法士の平雅成さんのアドバイスをもとに、腰痛を改善しながら、体幹を安定させる筋力トレーニングについて、ご紹介したいと思います。からだのバランスを保つ力も鍛えていくことで、転倒を予防できるそうです。

三木さんによると、
「実は姿勢の安定を保つ“平衡機能”も加齢と共に低下していきます。男性は20歳、女性は26歳ごろにピークに達し、それ以降は低下が著しいのです。カラダのバランスを崩しやすいということは、それだけ転倒のリスクが増えるということ。なので筋力だけでなく、毎日『バランス力』を鍛えていくことも大切なのです」
ということです。このため、三木さんが提唱されているのは、3ステップの運動療法で、それは、
「毎日、『三つの改善』と覚えてください。まず硬くなった筋肉や関節をほぐす『柔軟性・関節可動域の改善』です。そして体幹を安定させるための『筋力の改善』、最後に姿勢を安定させるための『動作の改善』を行うのです」
それでは平さんのアドバイスと共に、夜、入浴後などに実践してみて下さい。

これは平さんによると、次のようなやり方です。
「柔軟性・関節可動域の改善には、ボールを使って『股関節ほぐし』を行います。足の付け根にある股関節には毎日大きな負担がかかっています。そのまわりの筋肉も疲れてこわばっていますので、しっかりほぐしてあげましょう」
仰向けに寝転んで、お尻の下にボールをあて、コロコロさせてみることで、硬くなった大殿筋(お尻の筋肉)がほぐれ、腰周辺もじんわりしてくるのではないでしょうか。
平さんによると、
「ボールには硬式テニスボールや、ラクロスボールがおすすめです。テニスボールの新品ですと、硬すぎて痛い場合があります。適度に使い込んだ“やや硬め”くらいがいいですね。ラクロスボールはネットで購入されるのが早いです」
ということです。
そして次は、筋力をつけるために「腹圧トレーニング」を行います。

これは平さんによると、次のようなものです。
「体幹(胴体部分)の筋力が低下すると姿勢が悪くなり、カラダの節々が痛くなる原因になります。体幹を安定させるために、おなかまわりの『腹圧トレーニング』をしましょう。慣れてきたら、前後左右に重心を移す練習もしてみてください。また、おなかに力を入れたまま片手、片足を上げられるようになると、さらなる筋力アップにつながります。右手を前に伸ばしたときは、左足を後ろにグッと伸ばしてください。そして左手を前に伸ばしたときは、右足を後ろにグッと伸ばして」
最後に、締めのトレーニングは動作改善のための「片脚立位の確認」です。

これは、平さんによるとつぎのようなものです。
「まっすぐな姿勢のまま、片方の足を軸にして、もう片方の足の太ももを持ち上げます。これを交互に繰り返してみてください。このトレーニングは“きちんと上に持ち上がる足”をキープしていくためにも、ぜひ多くの方にトライしていただきたいです」
ここで、“きちんと上に持ち上がる足”とはどんな状態なのでしょうか? 平さんによるとそれは、
「男性も女性も50代以降、股関節の屈曲角度も膝関節の屈曲角度も急激に減少していきます。そして足をあまり上げずに歩くようになります。足を上げないでそろりそろりと歩くということは、それだけ床面や地面にあるものにつまずくリスクが増えるということも考えられます。そうしたリスクを回避するためにも、足はきちんと持ち上げて、元気に歩けるカラダでいたいですね」
ということです。片脚立位の確認は、慣れてきたら姿勢は崩さないようにして、上げた足を上げ下げしてみて下さい。平さんによると
「これでますます、足もバランス力も鍛えることができます」
ということです。
以上の3ステップ運動を毎日続けるだけで、「転ばないカラダ」の基礎は十分にかためられるそうで、三木さんも「
「骨折は未然に防げます。大切なのは、日々の小さな努力です」
と話しておられます。
それでは今日ご紹介したトレーニングのまとめです。
【柔軟性・関節可動域の改善】
■股関節ほぐし
1.仰向けに寝転んで、お尻の下にボールをあてる
2.膝を開いたり閉じたりし、硬くなった筋肉をほぐす
3.ボールの位置を変え、コロコロさせながらほぐす。1カ所20回コロコロとし、約5分行う
【筋力の改善】
■腹圧トレーニング
1.床に四つん這いになる。このとき腰が反らないように注意
2.へそを持ち上げるようなイメージでおなかに力を入れる。できるだけおなかが平らになるイメージ。そのあと肩甲骨を背骨に寄せるようにしながら5〜10秒ストップ。これを3セットを目標に繰り返す
【動作の改善】
■片脚立位の確認
1.手を下腹部に当て、可能な限りまっすぐ立つ
2.まっすぐな姿勢のまま太ももを持ち上げ、まずは20秒キープ。これを左右の足交互に行う(3セット)
いかがですか?
歳を取って骨折すると、治りが遅いだけでなくそれが原因で寝たきりとなる可能性もあります。そうなる前に、日々のトレーニングで体も骨も若々しさを保ちたいものですね。
よろしかったらブログランキングのクリック応援をお願いします。